11月, 2013年
生命保険料控除の税制改正について
このたび、2012年分以後の生命保険料控除に関する制度改正が実施され、生命保険料控除の仕組みが変わる事になりました。
※国税庁ホームページも参考にしてください。
国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/04_2.htm)
改正の概要
◆介護医療保険料控除の新設
「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの控除からなる制度に変更となります。
◆新制度適用契約
2012年1月1日以降に締結した契約から適用されます。
◆適用限度額の変更
各保険料控除の適用限度はそれぞれ、所得税4万円、住民税2万8千円となり、全体の控除額は合算で所得税12万円、住民税7万円となります。なお、住民税の全体控除額については変更ありません。
改定内容
旧制度適用対象 | 新制度適用対象 |
---|---|
・2011年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料等。 | ・2012年1月1日以降に締結した保険契約等に係る保険料等。 ・契約日が2011年12月31日以前で、2012年1月1日以降に更新や特約中途付加等により所定の契約内容が変更された保険契約に係る保険料等。 |
2012年以降の所得税の生命保険料控除算定方法
商品ごとの区分
◆一般
生存または死亡に起因して一定額の保険金・その他給付金を支払う事を約する部分に係る保険料など
◆介護医療
入院・通院等にともなう給付部分に係る保険料など
◆個人年金
個人年金保険料税制適格特約の付加された個人年金保険契約等に係る保険料など
一例:
【一般】 ・終身保険 ・養老保険 ・収入保障保険 ・平準定期保険 ・学資保険 など |
【介護医療】 ・医療保険 ・介護保険 ・がん保険 ・三大疾病特約 ・女性疾病特約 ・先進医療特約 など |
【個人年金】 ・個人年金保険 など |
【その他保険料】(生命保険料控除対象外) ・災害死亡給付特約 ・傷害特約 など |
具体例
●具体例を紹介していきます。
→具体例へ
生命保険料控除の具体例(所得税)
2012年以降の所得税の控除額について具体例を紹介します。(数字は仮定です。)
●CASE1:旧制度対象契約のみ加入
●CASE2:新制度対象契約のみ加入
●CASE3:新旧両制度対象契約加入(1)
●CASE4:新旧両制度対象契約加入(2)
●CASE5:旧制度対象契約に、2012年以降特約を中途付加
CASE1:旧制度対象契約のみ加入
契約日:2009年
主契約:終身保険(年間保険料:10万円)⇒旧制度・一般
特約:医療保障特約(年間保険料:6万)⇒旧制度・一般
旧制度 | 新制度 | |||
年間保険料 | 控除額 | 年間保険料 | 控除額 | |
一般 | 16万円 | 5万円 | - | - |
介護医療 | - | - | - | - |
個人年金 | - | - | - | - |
CASE2:新制度対象契約のみ加入
契約日:2012年
主契約:終身保険(年間保険料:10万円)⇒新制度・一般
特約:医療保障特約(年間保険料:6万)⇒新制度・介護医療
旧制度 | 新制度 | |||
年間保険料 | 控除額 | 年間保険料 | 控除額 | |
一般 | - | - | 10万円 | 4万円 |
介護医療 | - | - | 6万円 | 3万5千円 |
個人年金 | - | - | - | - |
CASE3:新旧両制度対象契約に加入(1)
契約日:2009年
主契約:終身保険(年間保険料:10万円)⇒旧制度・一般
特約:医療保障特約(年間保険料:6万)⇒旧制度・一般
契約日:2012年
主契約:定期保険(年間保険料:10万円)⇒新制度・一般
主契約:がん保険(年間保険料:6万)⇒新制度・介護医療
契約日:2011年
主契約:個人年金保険(年間保険料):12万円)⇒旧制度・個人年金
旧制度 | 新制度 | |||
年間保険料 | 控除額 | 年間保険料 | 控除額 | |
一般 | 16万円 | 5万円 | 10万円 | 4万円 |
介護医療 | - | - | 6万円 | 3万5千円 |
個人年金 | 12万円 | 5万円 | - | - |
CASE4:新旧両制度対象契約に加入(2)
契約日:2009年
主契約:医療保険(年間保険料:4万5千円)⇒旧制度・一般
契約日:2012年
主契約:定期保険(年間保険料:10万円)⇒新制度・一般
主契約:がん保険(年間保険料:6万)⇒新制度・介護医療
契約日:2011年
主契約:個人年金保険(年間保険料):12万円)⇒旧制度・個人年金
旧制度 | 新制度 | |||
年間保険料 | 控除額 | 年間保険料 | 控除額 | |
一般 | 4万5千円 | 3万5千円 | 10万円 | 4万円 |
介護医療 | - | - | 6万円 | 3万5千円 |
個人年金 | 12万円 | 5万円 | - | - |
CASE5:旧制度対象契約に、2012年以降特約を中途付加
契約日:2009年
主契約:終身保険(年間保険料:16万円)⇒旧制度・一般
主契約:医療保険(年間保険料:7万)⇒旧制度・一般
2012年7月、医療保険にがん入院特約を中途付加。(年間保険料5万円)
2012年1月~6月の払込保険料
終身保険:8万円⇒旧制度・一般
医療保険:3万5千円⇒旧制度・一般
2012年7月~12月の払込保険料
終身保険:8万円⇒旧制度・一般
医療保険:3万5千円⇒新制度・介護医療
がん入院特約:2万5千円⇒新制度・介護医療
旧制度 | 新制度 | |||
年間保険料 | 控除額 | 年間保険料 | 控除額 | |
一般 | 19万5千円 | 5万円 | - | - |
介護医療 | - | - | 6万円 | 3万5千円 |
個人年金 | - | - | - | - |
生命保険料控除証明書に関する問い合わせ
詳しくはご加入の保険会社へお問い合わせください。
先進医療とは?
先進医療とは
先進医療とは、特定の大学病院などで研究・開発された難病などの新しい治療や手術など、一般的な保険診療の水準を超えた医療技術で、厚生労働大臣から承認された医療行為のことを言います。
先進医療は公的医療保険の適用を前提に厚生労働省が認定した医療技術の事です。これまでも多くの先進医療が公的医療保険の適用を受けてきましたが、治療の効果が有効であっても、大規模施設などが必要で、全国的な普及が難しい技術は公的医療保険が適用されにくいのが現状です。
*先進医療の認定は随時見直されます。先進医療から保険診療へ移行する医療技術もあれば、先進医療としての認定が廃止される医療技術もあります。
先進医療の技術料は全額自己負担
保険診療であれば公的医療保険が適用されるため、医療費の負担は3割ですみますが、自由診療には公的医療保険が適用されません。先進医療では、先進医療の技術料は全額自己負担となりますが、その他の診察や入院などの費用は3割となります。
なお、厚生労働省に届け出た医療機関以外で先進医療と同様の治療・手術などを受けても先進医療とは認められません。
【先進医療を受けた場合の自己負担金の例】
総医療費が200万円、うち先進医療に係る費用が100万円だったケース
1.先進医療にかかる費用100万は全額を患者が負担します。
2.通常の治療(診察、検査、投薬、入院料)は、保険として給付される部分になります。
*保険給付に係る一部負担分については、高額医療費制度が適用されます。
先進医療の例
先進医療技術 | 平均 技術料 |
平均 入院期間 |
年間 実施件数 |
陽子線治療 | 2,680,804円 | 13.0日 | 3,012件 |
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 | 535,218円 | 1.2日 | 9,877件 |
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 | 301,000円 | 11.4日 | 138件 |
自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法 | 397,018円 | 3.3日 | 116件 |
*中央社会保険医療協議会「平成27年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」を元に技術料を算出
先進医療を受けるには
先進医療は、一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われることになります。
先進医療を受ける時は、治療内容や必要な費用などについて、医療機関より説明を受けます。説明内容について十分に納得したうえで、同意書に署名し、治療を受けることとなります。
先進医療を受けると、先進医療に係る費用、通常の治療と共通する部分についての一部負担金、食事についての標準負担額などを支払いますが、それぞれの金額を記載した領収書が発行されます。 この領収書は、税金の医療費控除を受ける場合に必要となりますので、大切に保管してください。
具体的な先進医療技術やその適応症(対象となる病気・ケガ・それらの症状)および実施している医療機関については変更されることがあります。詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。
厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index.html3.3
ライフサイクルと生命保険の見直し
私たちの長い人生にはいくつかの段階(出生-成長-結婚-育児-老後)があり、これらの段階の変化を一般にライフサイクル(家族周期、人生の生活周期)と呼んでいます。そして、ライフサイクルのそれぞれの段階に応じ、場合によっては多額の費用がかかる事が予想されます。
ライフサイクルを予想することによって、将来必要になる資金を、その時期と考え合わせて、計画的に準備することができるようになります。
これをライフプランニングといいます。
独身
扶養する家族がいないため、死亡保険の必要性はほとんどありません。
保険の目的は病気やケガに備える医療費や入院費、貯蓄などに力をいれるようにします。
結婚
万が一の場合、配偶者が生活に困らないように医療費や入院費のほかに、万が一のときの家族の生活保障のためという目的が加わります。子供がいない場合は相手も成人ですから過多な保障は必要ありません。
妊娠・出産
万が一のときの家族の生活保障のためだけでなく、子どもの教育資金の確保が重要な目的となります。また、家族が増える事によって生活費も増えますので、万が一のための保障を多く考えます。
子供の独立
子供が独立する頃には、万が一の保障も配偶者の生活費などですみます。今後の生活を考え貯蓄や個人年金を活用します。
住宅購入
一般的に住宅ローンを組む際に、同時に団体信用生命保険(団信)にも加入します。
団体信用生命保険に加入していれば、契約者が返済途中に万が一死亡したり高度障害になれば、残りのローン残高は保険会社から金融機関に一括で返済されますので、残債はゼロになりそれ以降住宅ローンの返済義務は無くなります。
その分の死亡保障などの見直しをするのもいいでしょう。
退職
退職後は自身と配偶者の老後の生活資金が必要になります。老後の生活費は貯蓄や個人年金で準備をしておきます。
医療保険に関しては、身の回りでも入院や手術を受ける人が多くなる年代ですので、医療保険を必要と考える場合は早めに加入しておく方がよいと思われます。老後に差し掛かると、介護に対する備えも必要となってきます。介護保険と医療保険は違いますので、心配な場合は両方に加入しておく方がよいでしょう。
ライフサイクル表
*** 一例です ***
このように保険の目的は、生活資金の必要となる時期により異なってきます。
ライフサイクルを考え、過不足のない保障額と、支払に無理のない保険料を設定する事が、保険を有効に使いこなすことになります。
変額保険
変額保険とは生命保険のうち、その死亡保険金額や解約返戻金、満期保険金の金額が運用実績に応じて変動する保険の事です。国内外の株式や債券、投資信託などで運用する事から大きなリターンを期待できる反面、株価や債券価格の下落、為替の変動等による投資リスクを伴います。ただし、「保険商品」であるため、死亡保険金額については最低保証が定められています。
死亡したときには、基本保険金+変動保険金が受け取れます。基本保険金額は、運用実績にかかわらず最低保証されるので、変動保険金がマイナスになった場合でも、基本保険金額は受け取れます。
変額保険には保険期間が一定の有期型と、一生涯保障が継続する終身型があります。
有期型の場合、満期をむかえると満期保険金が受け取れますが、その金額は資産運用の実績によって変動し、最低保証はありません。したがって、運用実績により基本保険金額を上回る場合もあれば下回る場合もあります。
解約時に受け取る解約返戻金額には、最低保証はありません。
ご契約時や運用期間中は、保険契約の維持管理に必要な費用、特別勘定の運用に必要な費用、解約時の費用などの諸費用をご契約者にご負担いただきます。なお、これらは商品によって異なります。
変額個人年金保険
変額個人年金保険も国内外の株式や債券を中心に資産を運用し、その運用の実績によって年金額や解約返戻金額などが増減する個人年金保険で、投資リスクは個人が負うことになります。長期でインフレヘッジができる点がメリットですが、インフレヘッジの役割を果たせるかどうかは、その後の運用がうまくいくかどうかにかかっていることに注意しましょう。
変額個人年金保険には、年金額が年金受取開始後一定のタイプと、受取開始後も運用実績によって年金額が増減するタイプがあります。
年金原資は、資産運用の実績によって確定するため、払込保険料の総額を上回る場合もあれば、下回る場合もあります。 また、年金原資や年金受取総額に最低保証のあるタイプを取り扱う会社もあります(最低保証のないものもあります)。
年金種類の多くは保証期間付終身年金と確定年金ですが、保証期間付有期年金もあります。
年金受取開始前に被保険者が死亡した場合に受け取る死亡保険金については、多くは最低保証がありますが、最低保証のないものもあります。
解約時に受け取る解約返戻金額には、最低保証はありません。
ご契約時や運用期間中は、保険契約の維持管理に必要な費用、特別勘定の運用に必要な費用、解約時の費用などの諸費用をご契約者にご負担いただきます。なお、これらは商品によって異なります。
学資保険(こども保険)
学資保険とは子供の進学時の教育費などに掛かるお金を補助することを目的とし、契約した保険料をきちんと支払うことによって、教育資金が必要になると予め設定した時期に給付金としてまとまったお金を受け取ることができる保険です。
主に祝い金や満期学資金として、契約時に決めた子供の年齢に合わせて給付金を受け取れるものです。
また生命保険と同様、子供や親に万が一のことがあった場合には、死亡保険金や病気やケガの治療に掛かる給付金が下りるものもあります。
基本的に学資保険の契約者が万が一亡くなった場合には、それ以降の保険料が免除されるシステムになっています。
育英年金と言って保険契約者が亡くなってしまった日から保険期間満了まで被保険者に給付金が支払われる商品もあります。
学資保険は教育費のための積み立てだけではなく、契約者や被保険者の万が一のことを保障する内容の商品も多く、子供が病気やケガをしたときには一定の給付金が下りるという特長に視点を置く場合もあります。 生命保険や入院保険と同じような保障を目的として学資保険に加入するケースも少なくはありません。
年金保険
日本は、急速な少子高齢化により、将来の公的年金制度に対する不安が高まっています。また、日本人の平均寿命は非常に長く、退職してから年金を受け取るまでの期間の収入確保や、60代~70代のゆとりある生活資金の確保などで、将来の老後資金に対する自助努力が必要になっています。そのような状況の中、個人年金保険は、公的年金や退職金以外に、ある程度の時間をかけてまとまった老後資金を準備できる私的年金であり、一つの有効な手段といえます。
個人年金保険と変額年金保険があります。(変額年金保険については変額保険で説明します。)
個人年金保険
個人年金保険とは契約時に定めた一定の年齢から年金が受け取れます。
年金を受け取る期間でいくつかの種類があります。
保証期間付終身年金
保証期間中は生死に関係なく年金が受け取れ、その後は被保険者が生存している限り終身にわたり年金が受け取れます。保証期間中に被保険者が死亡した場合、残りの保証期間に対応する年金、または一時金が支払われます。
確定年金
生死に関係なく契約時に定めた一定期間、年金が受け取れます。年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、残りの期間に対応する年金、または一時金が支払われます。
保証期間付有期年金
保証期間中は生死に関係なく年金が受け取れ、その後は契約時に定めた年金受取期間中、被保険者が生存している限り年金が受け取れます。保証期間中に被保険者が死亡した場合、残りの保証期間に対応する年金、または一時金が支払われます。保証期間のないものもあります。
夫婦年金
夫婦いずれかが生存している限り年金が受け取れます。
介護保険
生命保険会社の介護保険は、被保険者が寝たきりや認知症などの保険会社の契約で定める所定の要介護状態になり、その期間が一定期間継続した場合に、介護年金や一時金などを受け取る事ができます。保険会社毎に、中・軽度の寝たきり状態からカバーできるようにしたもの、公的介護保険制度に連動しているものなど様々なタイプが用意されています。
高齢化が進む現在、介護を受ける人が増えています。2004年4月、要介護状態を6段階に分け、段階ごとに一定範囲の介護サービスが受けられ、自己負担はその費用の1割で受けられるサービスの仕組みである公的介護保険が出来ました。
それを受けて生命保険会社の介護保険商品は、その範囲以上のサービスを受ける場合の費用負担などの為の保険、という性質を持つ様になりました。
がん保険
がん保険は、がんにかかった場合の備えに特化した医療保険です。がん保険はがんと診断された時にまとまった診断給付金を受け取ることができるなど、がんの高額な治療費にも対応できます。また、がんのみに特化した保険なので、保険料は比較的安価になります。
一般的に保険は、契約の承諾と、1回目保険料の払い込み、医師の診査が行なわれた日(医師の診査がなければ、告知書が到着した日)がそろったところで保険の責任開始日となります。 ただしがん保険の場合は、通常の責任開始日から91日目ががんの保障の責任開始日になります。この日よりも前にがんと診断された場合、本人や家族がそれを知らなかった場合にも、保険契約は無効になります。自分が加入するがん保険の責任開始日がいつからか、必ず確認するようにしてください。
厚生労働省の調査によると、日本人の死亡原因のトップはがんであり、がんにかかるリスクは年齢とともに上昇します。一般にがんになると高額な治療費がかかることが多く、がん保険に加入しておけば、経済面を気にすることなく安心して治療に専念できますので、一つの有効な対応策といえます。
特定疾病保険
特定疾病保険は、三大疾病のがん・急性心筋梗塞・脳卒中で保険会社の定める所定の状態になった場合に、請求により、生きているうちに死亡保険金と同額の特定疾病保険金を受け取る事のできる保険で、保険金を受け取ると同時に保険契約は消滅します。
三大成人病による保険金の支払事由が発生しないまま、死亡した場合や高度障害になった場合でも同額の保険金を受け取ることができます。
一般に特定疾病保険は、日本人の死因のワースト3をカバーする保険であり、万一の時に有効なものといえます。